研究課題/領域番号 |
18K02005
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
吉澤 弥生 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (20513162)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 芸術 / 労働 / 文化政策 / アートプロジェクト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、文化政策の進展を背景に各地に広がった、多様なアクターによって成り立つ「アートプロジェクト」を支える人々の(1)労働実態とキャリア形成のプロセスをインタヴュー調査によって明らかにし、(2)現場に即した持続可能な文化政策のあり方を提示するとともに、(3)これら現代の芸術生産にかかわる労働者の視点から「文化生産の社会学」を展開させることである。 本年度はまず、ロンドン調査を2019年度以降に変更し国内でのインタヴュー調査(4名)を実施した。また内外のアートプロジェクト、文化政策、労働、ジェンダーに関する文献資料の収集をおこなった。近年、芸術分野におけるジェンダーの問題にも注目が集まりつつあるが、本研究においても欠かせない視点であるため、集中して検討をすすめた。 研究成果の公表については、2018年6月に第69回関西社会学会大会シンポジウム「アートと社会/地域の現在 ー瀬戸内から考える」において「アートはなぜ地域に向かうのか ー『社会化する芸術』の現場から」と題した報告をおこない、その中で労働の問題について触れた。また2018年11月にフォーラム「芸術と労働」の基調講演を担当したほか(京都精華大学「LGBTQをはじめとするマイノリティの社会包摂を視野に入れたアートマネジメント・プロフェッショナル育成事業」平成30年度文化庁「大学における文化芸術推進事業」)、2019年1月から3月にかけてアートマネジメント総合サイト「ネットTAM」にて講座「アートと雇用・労働環境」をテーマに3回の連載を担当した。とくに後二者は一般公開の場であることを考慮し、現状を平易に紹介・共有するだけでなく、厳しい状況を変えていくために文化政策と労働者自身にどんなことが必要かなど、実践的な展望についても考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロンドン調査を2019年度以降に変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
内外の文献資料収集とともに、国内のインタヴュー調査は年間で5名程度を継続していく。一方、ロンドン調査についてはイギリスのEU離脱に伴い同国の文化政策にどのような影響があるかを見極めながら、適切な時期に実施したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロンドン調査を2019年度以降に変更したため、約53万円の次年度使用助成金が生じた。2019年度は予定していた国内調査と合わせ、イギリスのEU離脱前のロンドンでの調査を実施し、この金額を使用する予定である。
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備考 |
2019年1月から3月、3回連載
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