研究課題/領域番号 |
18K02005
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
吉澤 弥生 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (20513162)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 芸術 / 労働 / 文化政策 / 地域 / アートプロジェクト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、文化政策の進展を背景に各地に広がった、多様なアクターによって成り立つ「アートプロジェクト」を支える人々の、(1)労働実態とキャリア形成のプロセスをインタヴュー調査によって明らかにし、(2)現場に即した持続可能な文化政策のあり方を提示するとともに、(3)これら現代の芸術生産にかかわる労働者の視点から「芸術生産の社会学」を展開させることである。 本年度は主に日本とイギリスのアートプロジェクト、文化政策、労働、ジェンダーに関する文献と資料の収集を行った。また本研究が対象とする人々はコロナ禍によって甚大な影響を受けたため、日本各地の自治体や民間が行った緊急的な生活実態調査の結果を収集し、現状の把握に努めた。また近年徐々に注目を集めるようになってきた芸術文化領域でのハラスメント問題に関しても、その構造は労働問題と同根であるとの認識から、リサーチを進めた。 研究成果の公表については、2020年9月5日に読売新聞社会面記事「劇団員の稽古は『業務』東京高裁・賃金支払いを命令」にコメントが掲載されたほか、同年9月22日ウェブサイト「弁護士ドットコム」にインタヴュー記事「若いうちの苦労は買わなくていい ―“ブラック”なアート業界を変えるには」が掲載された。また2021年3月に、芸術従事者の労働問題をコロナ禍の影響までを射程に入れて論じた「芸術労働者の権利と連帯」を山田創平編著『未来のアートと倫理のために』(左右社)にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で移動が制限され、現地調査やインタヴューを行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
国内でのインタヴュー調査を年間5名を目標に、まずはオンラインでの調整を進めていく。また日本とイギリスの近年の文化政策の変化とその影響を文献を通して調べ、労働者の声の背後にあるそれぞれの社会・文化的状況について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内の現地視察とインタヴュー調査が行えなかったことから次年度使用額が生じた。これについては今後、国内での現地視察とインタヴュー調査、および文献資料の購入のために使用する。
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