研究課題/領域番号 |
18K02005
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
吉澤 弥生 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (20513162)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 芸術 / 労働 / 文化政策 / 地域 / アートプロジェクト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、文化政策の進展を背景に各地に広がった、多様なアクターによって成り立つ「アートプロジェクト」を支える人々の、(1)労働実態とキャリア形成のプロセスをインタヴュー調査によって明らかにし、(2)現場に即した持続可能な文化政策のあり方を提示するとともに、(3)これら現代の芸術生産にかかわる労働者の視点から「芸術生産の社会学」を展開させることにある。 本年度は主に日本とイギリスのアートプロジェクト、文化政策、労働、ジェンダーに関する文献と資料収集を行った。なかでもエジンバラとグラスゴーおよびロンドンの現地調査を通して、スコットランドとイングランドにおける近年の文化政策の実態の把握につとめた。そこではオリンピックのレガシーという考え方や観光政策と芸術文化の関係の変化などについての示唆をえた。並行して日本各地で開催される「芸術と労働」に関するトークイベント等にも参加し、問題意識の共有と各分野における実態調査が進んでいることを確認した。一方で、ハラスメントや暴力などジェンダーに関する被害の告発も相次いでおり、それらに対するサポート活動の広がりと活動継続の難しさについても調査を進めた。 研究成果に関しては、アートワーカーに関する翻訳出版イベントへのコメンテーター登壇、美術作家の作品制作へのリサーチに関するアドバイザー協力、またアートとジェンダーに関する展覧会図録へのテキスト寄稿といった形で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で現地調査を行うことが難しかった影響が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
国内でのインタヴュー調査10名をめどに調整を進める。また日本とイギリスの近年の文化政策の変化とその影響を文献を通して調べ、労働者の声の背後にあるそれぞれの社会・文化的状況について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
とくに国内調査を行うことが難しかったことから次年度使用額が生じた。今後は国内の現地視察とインタヴュー調査、および文献資料の購入のために使用する。
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備考 |
田中功起「経験の共有 ーオフィスワーカーの場合(仮)」(3月7〜14日)アドバイザー協力、ジュリア・ブライアン・ウィルソン『アートワーカーズ』出版イベントへのコメンテーター参加(3月14日)、水戸芸術館「ケアリング/マザーフッド」展図録へのテキスト「わたしたちば透明ではない」寄稿を通して研究成果を公表した。
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