研究課題/領域番号 |
18K02116
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
稲垣 美加子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30318688)
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研究分担者 |
松薗 祐子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (00164799)
池畑 美恵子 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (00616352)
松浦 俊弥 淑徳大学, 総合福祉学部, 准教授 (10709124)
山下 幸子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (60364890)
黒川 雅子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (90339482)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 発達障がい / 生涯支援 / 家族支援 |
研究実績の概要 |
今年度は各研究員の知見をもとに、松薗、黒川、池端らが中心となって、本研究の主題でもある淑徳大学発達臨床センターのケース記録の分析にとりかかった。データの集積は過去40 年にさかのぼり現在とは個人情報取り扱いのルールが異なる部分もあり、過去の利用データをもとに、活用するケースについては、再度同意確認を実施した。<淑徳大学倫理審査2017-106> 年次別の記録を個人ごとにまとめ療育の概要を取りまとめた。この経緯については、「淑徳大学大学院紀要第26号」に中間報告を公開した。 山下は成人した障害者の生活支援に焦点をあて、職場や地域での権利擁護の在り方を検証し、就学期との連続性への示唆を探求している。これと連動するかたちで松浦は学校での障がい児支援について、教員を含めた実践者の研修を行うなど実践知の理論化に取り組んでいる。 また、稲垣は昨今発達障がい児の家族支援を実践している子ども家庭福祉施設のファミリーソーシャルワーカーらと意見交換を行い、特にサービス利用児の権利擁護について、その方途を模索した。発達障がい児の支援場面において多くの場合、親や保護者が代諾者となって支援が展開されているが、時に親の育児スキルの混乱やストレスからのネグレクトが危惧される実情が報告され、このような場合、子ども主体の権利擁護の可能性や、第三者による権利擁護をどのように実現していくか、家族支援、特に家族関係への介入の視座や方法の必要性が提起された。 これらの研究により、発達障がいの子どもたちが家族のもとで育まれ、社会関係を拡大していく際に、どのような支援が必要なのか、今後はメンバーで研究のまとめに臨んでいきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は淑徳大学、発達臨床センターの事例検討を軸に各研究員がそれぞれのフィールドでこの研究を補足する周辺研究を行っている。発達臨床センターの支援記録の分析を中心に、それぞれ研究は一定の成果を収めているが、各研究間の連携には課題が残っている。 特に予定していたインタビュー調査が実施できなかった点が喫緊の課題となっている。 結果、今年度はやや個々の活動に研究が分散した傾向があり、全体としての研究会の開催が充分ではなく、お互いの研究の情報交換に終わる傾向があり、研究全体としての研究の進捗状況の確認が課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究の最終年度でもあり、臨床発達障害センターの事例分析を研究員の参加を得て、研究のまとめを試みたい。コロナウイルスの動向により、インタビュー調査の期限内の実施、分析に危惧を感じるが、可能な限りインタビューを実施し、その知見を活かした支援方法を模索し、「育ちのサポート」として何等かの形で公開したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度末予定していた、研究会・出張等コロナウイルスにより延期せざるを得ない状況となり、当初支出予定よりも少ない支出となった。当初予算の残額は次年度へと繰り越したい。 次年度は研修者個々の、研究成果を集約して、「育ちのサポート」のフレイムを提案したい。ただし、オンライン等非対面の研究会実施も予測され、残りの予算から周辺機器の整備への使途も想定している。 特に本学「発達臨床センター」データの分析については、分析結果を公開するとともに、センターへのフィードバックを行い、発展的な実践展開に寄与したいと考えているが、大学が立ち入り禁止の状況が続いたためデータ等の入力作業に遅れが生じている。この点についても、アルバイト等の雇用の必要性が想定され人件費としての使途も必要なものと考えている。
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