研究課題/領域番号 |
18K02143
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
日詰 一幸 静岡大学, その他部局等, 学長 (30241152)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フードバンク / 生活困窮者支援 / 共同募金会 / 社会福祉協議会 / 福祉担当課 / 地域福祉 / 協働 |
研究実績の概要 |
日本のフードバンクの活動実績の調査を継続するとともに、2000年1月以降の新型コロナウイルス感染パンデミックで生じた生活困窮者の増加に際し、フードバンクがどのように機動的に対応しているのかを調査した。調査対象としては、いち早く共同募金会との連携の下で生活困窮者支援が実現した静岡県を選び、その実態調査を主に文献やメール・電話等の聞き取りにより実施した。その結果、静岡県内を支援対象とする「フードバンクふじのくに」と静岡県共同募金会の「”赤い羽根”新型コロナ対策生活困窮者支援事業」の連携により、静岡県内における生活困窮者の食の面における一時的支援がなされたことを確認した。 フードバンクと共同募金会の協働事業により、「フードバンクふじのくに」は2020年度1年間に6403件の生活困窮者からの要請に応じることができた。その数は2019年度(2873件)の約2.2倍ということであり、地域に根差したフードバンクが地域福祉の最前線において生活困窮者支援において機動的に対応していたことが判明した。 また、フードバンク―共同募金会-各市町社会福祉協議会―各市町福祉担当課の連携もできあがりつつあり、静岡県内における生活困窮者支援の体制整備に一役買っていることも確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度も新型コロナウイルスの感染に伴い、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言の対象地域に指定されることにより、居住地域外への移動がかなり制約をされた。そのことにより、県外地域や海外調査の計画が頓挫してしまい、研究計画の多くが実施できなかった。そのため、これまで収集した文献を中心に調査を継続した。また、他地域への出張ができなかったがフードバンク活動と生活困窮者支援の接合により、静岡県内における地域福祉機能の一端を調査をすることができた。一方、2021年4月より静岡大学学長に就任したことにより、研究に割くことのできるエフォートがかなり少なくなってしまい、研究計画の推進が大幅に遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況が緩和することを確認できれば、県外域や海外への出張を検討する予定である。また、フードバンクの機能の一つとして、食料配布会等のパントリー機能をもつ組織も増えてきていること、各地で増大しつつある「子ども食堂」とのかかわり等、新たな側面もみられることから、日本の今後のフードバンクの新たな課題への対応がどの程度柔軟になされているのか、その点に関しても調査を実施する予定である。 また、今後の地域福祉政策におけるフードバンクや共同募金会の位置づけについても、前年の研究成果をもとに検討を進め、日本の生活困窮者支援の構図を取りまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルスの感染に伴い、居住地域がまん延防止等重点地域や緊急事態宣言の対象地域に指定されたこともあり、本研究に要する国内及び海外への出張ができなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度に新型コロナウイルスの感染状況が好転した時点で計画されている国内、海外出張を実施する予定にしている。また、その際インタビュー調査も合わせて実施することにしている。
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