本研究では、高等試験を1920年代から1930年代の教育制度改革議論における中心的課題の一つであった機会均等、特に職業上の機会均等の観点から分析することを目的として、中学校卒業者と同等以上の学歴を有しない者に対して、高等試験予備試験の受験資格を認定するために新たに設けられた、高等試験令第七条試験(以下、高資)について検討した。高資は制度としては中学校卒業者と同等以上の学歴を有しない者が、高等官を目指すための機会を開く方途として整備されていったとみなせるものの、現実的な機能としては極限定的であったことを跡づけた。
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