研究課題/領域番号 |
18K02363
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
武井 敦史 静岡大学, 教育学部, 教授 (30322209)
|
研究分担者 |
島田 桂吾 静岡大学, 教育学部, 講師 (20646674)
中村 美智太郎 静岡大学, 教育学部, 准教授 (20725189)
伊藤 文彦 静岡大学, 教育学部, 教授 (60184686)
鈴江 毅 静岡大学, 教育学部, 教授 (70398030)
梅澤 収 静岡大学, 教育学部, 教授 (90223601)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 場 / 地域コミュニティ / 地方創生 / コミュニティ・スクール / 人口減少 |
研究実績の概要 |
本研究は、人口の急激な減少によりコミュニティの活性維持と学校教育の質的改善に課題を抱えている地域を対象にアクションリサーチを実施し、地域コミュニティが中核となって教育環境の改善を図ることで、同時に地域社会の自律的活性化を促すための手立てを開発し、これを汎用性のあるモデルとして概念化することを目的として推進してきた。 本年度はアクションリサーチについての成果を確認した上で、研究成果をまとめる学会等において成果を公表する予定で研究計画をすすめてきた。 まず、人口減少化にある自治体の効果的な学校再編に関係する組織動態とその特徴について、次の論文において公表した。「地域発展につながる学校再編実現の組織化プロセス」(佐々木浩彦、武井敦史『日本教育経営学会紀要』第62号2020.7. pp.78-88) また、人口減少地域において活用可能な活動型カリキュラムの開発フレームワークを「プリズム・カリキュラム」と命名したうえでこれをモデル化し、次の論文にまとめた。「汎用的な能力を培う『プリズムカリキュラム』の開発的研究 ―公立学校で導入可能な自治体裁量プログラムの開発モデルの提案―」(武井敦史他 静岡大学教育学部研究報告 人文・社会・自然科学篇 第71号, 2020. 12, pp.116-142)同研究のモデルはすでに静岡県下、2つの自治体において導入され、一定の成果を上げている。 さらに、本研究の成果を広く社会貢献に活かす観点から、これを研究関係者以外も含む、より広い読者層に読まれる書籍として刊行する計画を立て、月に一度のペースで研究会を開催しながら、計画を推進してきた。同計画については、昨年度末までの段階で、草稿がほぼ収集されたところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は当初アクションリサーチより得られたデータを基に「地域ベースの教育改革基礎モデル」を構築すると共に、モデルの持つ制約条件と限界について明らかにし、その成果国内外の学会報告書等において公表する予定であった。 研究グループによるオンライン等の手段を併用しつつ研究協議は当初の計画通りに活発に行われているものの、本研究の中核となるアクションリサーチについては、新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、学校での実施が当初の計画通りにすすめることは困難になった。 2021年度以降も学校現場は引き続き感染拡大に対応しなければならないことが予想されるため、本研究の当初の計画をそのまま実施することは困難であることが想定される。 このため、研究期間について1年間の延期を申請したうえで、本研究において企図してきたアクションリサーチに類似する既存の実践記録を収集して分析する方向に研究の力点をシフトした上で研究デザインを修正した。 現在、残り一年間で到達可能な研究成果上として、著作の刊行を検討し、執筆・編集作業に入っているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は、研究計画の最終年度にあたる。上記のように学校の状況を鑑みるとき、当初の計画をそのまま実現することは困難であることが予想されるため、ターゲットを①著作の刊行、②オンライン研究会を活用した研究成果の公表、③その後の研究計画の策定と研究助成への応募の3点に力点を置いて研究を進める。 ①については、上記計画ですすめている著作の刊行を、本年7月を目標に実現する。すでに出版社との調整や草稿の執筆はほぼ完了しており、現在校正の段階に入っているところである。 ②について、上記著作をたたき台として多角的に検討するための研究会を、オンラインで開催し、本研究の成果を主に実践的な側面から確認すると同時に今後の研究についての示唆を得る。研究会は8~9月を予定している。 ③について、上記研究会をベースに、当初の研究計画を達成さらに発展させうる方向性を模索する。同時に、新たな研究体制を構築し、新たに科学研究費補助金に応募し、今後の研究発展を計画する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウィルスの感染拡大等の影響から、当初予定していたアクションリサーチに伴う出張等を実施することが困難となり、またこれに伴って研究の進捗が遅れているため、研究費には多くの残額が生じている。 次年度も引き続き、アクションリサーチに関する出張等の制約は見込まれるものの、今後の研究発展に関する研究協議や成果の確認に関する協議を行うため、可能な範囲で出張の実施を検討する。 また、研究成果の公表と今後の研究発展に関する検討を、当初予定されていた学会報告に変えてオンライン研究会のかたちで企画し、実施する予定である。その際に必要となる資料代、PC等の情報端末、オンライン関連機器の整備を行うための経費として研究費の残額は使用する計画である。
|