本研究は東アジア諸国における近年の高等職業教育改革の動向について分析を行った。なかでも、中国で2009年に新設された専門職大学院に焦点をあてて分析した結果、進学者の大幅な量的拡大がみられるものの、本来の目的である実践的な職業スキルを修得した人材を労働市場へ投入するという目的は十分に達成されていないことが指摘された。すなわち、東アジア社会では学業資格と職業資格の融合が弱いこともあり、大学の職業専門化に向けた制度改革を進めるには、多大な時間と膨大なエネルギーをもって労働市場と学校教育をまたぐ職業資格の策定に取り組む必要があることが示唆された。
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