研究課題/領域番号 |
18K02420
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
伊藤 茂樹 駒澤大学, 総合教育研究部, 教授 (70251569)
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研究分担者 |
田中 奈緒子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (50277935)
藤田 武志 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70324019)
仲野 由佳理 日本大学, 文理学部, 研究員 (90764829)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 少年院 / 矯正教育 / 修学支援 |
研究実績の概要 |
研究期間の2年目である2019年度は、少年院における修学支援の状況と課題、特に少年自身がそれをどのようにとらえ、出院後にどのような成果が生じ、どのような困難に遭遇しているのかを明らかにするために、東日本のある男子少年院において、①出院者に対するインターネットを用いたアンケート調査(複数回のパネル調査)、②出院前のインタビュー調査、③アンケート調査への回答者(一部)に対するインタビュー調査に着手した。単一の少年院における調査であるため、調査対象となる少年の人数は限られており、また新型コロナウィルスへの感染予防のため少年院への訪問や少年との接触が困難になったこともあり、計量的な分析に耐えるに十分なサンプル数を確保することは容易でない。しかし長期的に調査を継続することでサンプル数を増やすとともに、修学支援の実態とその成果、出院後の学習の継続や進学の状況、その過程で遭遇する困難などについて事例を収集し、修学支援の課題と可能性について知見を得ることが期待できる。 また、義務教育課程を設置し多くの中学生に対して教科教育を実施してきた東日本の男子少年院において聞き取り調査を実施し、従来十分に注目されてこなかった在院中の義務教育について、実情と課題、今後の展望について知見を得た。 さらには、少年院における矯正教育全体及び修学支援、福祉的支援を含む社会復帰支援についてのこれまでの研究成果を書籍としてまとめる作業に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね予定通りに進展しているが、少年院出院者を対象とした継続調査は、入院者の減少傾向が続いていることなどから対象者が少なく、短期間で十分なサンプルを確保するのが困難な見通しである。今後調査期間を延長することで、多くのサンプルを確保していくことを予定している。また、新型コロナウィルス感染症の流行により、調査を実施している少年院も外来者の訪問を大幅に制限することとなり、出院前のインタビュー調査、保護者会での調査協力依頼ができなくなった。2020年夏以降の回復が期待されるが、これについても調査期間の延長により補う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
少年院出院後のインターネットによる追跡調査は、協力が全く任意であることもあり、必ずしも多くの回答が得られているとは言えない状況である。今後、調査協力依頼の方法の改善などにより、少しでも多くの回答を得ることをめざしていくが、並行して、出院者に対する支援団体や自助グループなどにも依頼し、調査についての周知を図るとともに、こうした団体を通じて少年院出院者と広くコンタクトを取り、インタビューなどにより質的データや事例を収集していくことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に予定していた実地調査が新型コロナウィルス感染症の流行等の理由で次年度に延期になったことにより、旅費の支払いが予定より少なくなっている。2020年度に可能な範囲で実地調査を行い、執行する予定である。
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