最終年度である本年度は、研究の総括をするとともに、本研究の主題である「教育の市場化による子どもの貧困対策」の特徴をより鮮明にするために、教育の市場化とは対比的に位置づけられる一方で、子どもの貧困対策としても有効であると考えられている少人数学級について検討を行った。2021年度より、日本において35人学級の実施が小学校2年時以上においても段階的に実施されることになり、少人数学級の実施として注目を集めている。少人数学級の効果をめぐる先行研究において、その成果指標を学力(テスト得点)として設定した場合には、その効果が特に社会経済的に恵まれない家庭の子どもにおいて確認されてきた。しかしその一方で、少人数学級が学力にもたらす効果の程度問題についても議論されてきた。以上を踏まえて、少人数学級が学力にももたらす影響の意味について検討を行った。また、少人数学級が非認知能力に及ぼす影響についてのレビューを行った。さらに、OECD(経済協力開発機構)が実施している国際教員指導環境調査(Teaching and Learning International Survey: TALIS)に基づく基礎的なデータ分析を行い、それらの検討結果を日本社会関係学会において口頭報告にて発表した。
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