研究実績の概要 |
本年は研究成果のまとめとして成果報告書の作成を行った。報告書はシンポジウム「造形・製作活動が育む力-遊びの質と創造性,社会的・行動的スキル-」(日本 乳幼児教育学会、2019 年 12 月 7 日)における研究報告の内容が中心をなしている。同シンポジウムにおける筆者と天童市東幼稚園・天童東第二幼稚園、石沢惠理氏(東北芸術工科大学講師)と鶴岡市松原保育園の共同実践報告に加え、指定討論者としてご参加頂いた笠原広一氏(東京学芸大学准教授)からも寄稿を頂いた。 小林らの取り組みでは、独自に開発したチャートによる観点別分析やクラス全体の活動を表で視覚的に表し、保育者間の異なる分析視点を共同で検討していくことで、非認知的能力を保育の中でどのように捉え育成を検討していけるのか、その具体的モデルを示したことが意義ある成果と言える。 石沢らの取り組みでは、活動の中に素朴な形で生起する乳幼児の遊びや表現の姿について丁寧な記述と考察を積み上げており、こうした実践報告記録は幼稚園や保育園と芸術(美術)専門家とのコラボレーションの基盤となる。これらの取り組みは共同実践研究を活性化させる上で多くの保育関係者や研究者の参考になるものである。 笠原氏からは非認知的能力に関する研究的背景も含め、私たちの実践報告に対する懇切な講評を頂き、大学と園の連携の可能性とともに、本研究が今後目指すべき地域との連携や研究成果の社会実装についてご助言を頂いた。
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