研究課題/領域番号 |
18K02529
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
山本 奈美 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20351934)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 家庭科 / 調理実習 / 教室管理 |
研究実績の概要 |
本研究では、調理実習授業を担当する教師に求められる多面的なスキルの様相を明らかにするために、実際の授業場面で求められる授業スキルと、授業運営の前提としての適切な実習教室の管理スキルを設定し、昨年度に続いて主に聞き取り調査により明らかにすることを試みた。 中学校に勤務する勤務歴の長い教員は、平素からの実習教室管理の必要性を①集団で調理を行う場としての衛生管理の観点から、②実習中の生徒の危険防止の観点から、③効率よく実習授業を進めるための観点から、④授業効果を高める観点から等の複数の観点から捉えていた。自分の問題意識に基づいて実習教室を変えていくことを積極的に考えているのに対して、小学校教員や勤務歴の短い中学校教員からは、実習教室を自分の考えで「勝手に変えるのは申し訳ない」との意識があり、現状維持をよしとする姿勢が伺われた。また、勤務歴の短い教員や学生は、教室管理の必要性が「きれいにしておく」程度の認識にとどまっており、授業の効率や効果を高める観点から捉える意識は弱いことが推察された。特に学生は、実習中の児童・生徒の不規則な動きを想定できず、その動きを集団として、事前の準備や実習室内の物のレイアウト等によってコントロールしようとの意識が弱いと考えられた。そのことが、実習授業の混乱を招き、実習授業の大変さ、負担感をもたらしていると推察された。これらの傾向が校種による特性や勤務歴の長短によるものか、今後は量的な調査も加えてより精査していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度末の一斉休校措置に伴い、学校を対象とした調査の実施を控えたため、予定していた調査を終えられていない。
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今後の研究の推進方策 |
学校への訪問調査及び授業参観は引き続き厳しい状況が予想される。Web上で公開されている実習室の管理マニュアルを入手することができたので、これらの資料を手掛かりに内容の分析を試みたい。年度末に実施を控えた郵送によるアンケート調査は、時期を見て協力を依頼したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究の遅れにより学会等での成果発表に至っていないこと、年度末の調査を控えたことから、次年度使用額が生じている。当初計画の項目に対して、速やかに進めていきたい。
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