研究課題/領域番号 |
18K02730
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
中村 美智子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10379589)
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研究分担者 |
冨永 敦子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60571958)
辻 義人 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80400076) [辞退]
岩倉 裕子 (大塚裕子) 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特任准教授 (10419038)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ピアチュータリング / 質的分析 / コーディング・スキーム / チュータリング・ストラテジー / 学習支援 / チューター研修 / インタラクション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国際認定を受けた学習支援センターで行われるチュータリングの質的分析を行い、チューター(学生指導者)とチューティ(学生利用者)の発話行為という観点から、チュータリング・インタラクションの詳細を明らかにし、体系化することである。体系化には、分析に必要なタグ(コード)の決定、分析単位の同定、チュータリング・プロトコルの分割方法やその手順を示す「コーディング・スキーム」の作成も含まれる。 本研究課題の初年度である2018年度は、まず、分析の対象となるデータプールとして新たにチュータリング・セッション48件を収録した。その後、相談科目やチューターの採用期間ごとに分類し、最初の分析に必要な11件を反訳した。また、この作業と並行して、以下の手順でコーディング・スキームの開発も行った。まず、国際学術雑誌を中心に文献調査を行い、チューターとチューティの行動リストの素案を作成した。このリストを用いてサンプル(チュータリング)データ2件のコーディングを行い、本研究独自のコードを追加するなど、数回にわたりリストの修正を行った。また、転記されたプロトコルを分析単位に分割する方法と手順をまとめた「セグメンテーション・ルール」に関しては、行動リストと同様、サンプルデータを用いて検証・修正を行ない、ドラフトとして完成した。 分析の対象となるデータ収集と分析のツールであるコーディング・スキームの作成が終了したことで初年次の目標を達成し、次のステップであるメインデータの分析が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画で行われる本研究の目的を達成するために、年度ごとの目標と作業項目を設定し、初年度の目標(フェーズ1)をほぼ達成することができた。フェーズ1の目標とは、メインデータの収録と転記、質的分析に必要なコーディング・スキームの作成である。メインデータは、現時点で、予備を含む十分なデータが収集されている。コーディング・スキームの主要部分である行動リストは、数回にわたる修正後、コーダー間の信頼性80%以上のレベルまで精度を上げることができた。セグメンテーション・ルールは、サンプルデータをもとに、その手順と方法をドラフトとしてまとめた。フェーズ2で分析方法の詳細が決定した時点で、最終版が作成される予定である 。以上のことから、次年度の作業(フェーズ2)を行うにあたり必要な作業が終了したため、進捗状況はおおむね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
目的達成に向けて計画された3つのフェーズの「フェーズ2」を実施する。具体的には、作成されたコーディング・スキームを用い、メインデータへのコーディングを行う。この作業には、信頼性の継続的な検証と、さらなる向上を目指したスキームの微調整も含まれる。また、最終年度で実施するフェーズ3への準備として、結果の分析とその可視化の方法について、文献調査と予備分析を行い、すでに計画してある分析方法の改善案を検討していく。さらに、チュータリング・インタラクションの体系化における「チューター研修の効果」を検証するため、チューターとそうでない学生グループを比較する方法と予備データの収集を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの反訳にかかる費用が当初の見積もりより少なくおさまったこと、招待講演2件の旅費交通費が主催者側の負担となったこと、分担者一人分の設備備品が学内予算から支給されたこと等から、研究費については次年度への繰り越しがあった。次年度も、データ収集と反訳を継続して行い、分析ツールなどの購入費に充てる予定である。
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備考 |
本研究の研究フィールドである学習支援センターが持つ国際認定(International Tutor Training Program Certification)の「5年目(Stage3)審査」が行われ、College Reading & Learning Associationより再認定を受けた。申請書類は本研究課題の研究分担者が作成した。
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