研究課題/領域番号 |
18K02730
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
中村 美智子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10379589)
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研究分担者 |
冨永 敦子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60571958)
辻 義人 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80400076) [辞退]
岩倉 裕子 (大塚裕子) 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特任准教授 (10419038) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ピアチュータリング / チューター研修 / 質的分析 / スキャフォールディング / 学習支援センター / 高等教育の質保証 / チュータリングの基本構造 / 学習支援力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,大学の学習支援センターで行われるチュータリング対話の質的分析を行い,学びを促すチュータリング・インタラクションの詳細を明らかにすることである.2018年度より1年の延長を含む4年計画で実施され,これまでに,分析に必要なコーディング・マニュアルの開発,対象データの収録とタグ付け,ベテラン・チューターの発話行為とチュータリング構造に関する分析,「つまずき」の発見から解決までのプロセスの分析を行った.最終年度である2021年は,本学で学習支援のニーズが高い初年次プログラミング科目に焦点をあて,追加データの分析と体系化を行った.チュータリング経験値による発話行為の比較では,新人とベテラン間で違いは見られず,どのチューターも質問やフィードバックを中心にインタラクティブな学習支援を行っていることがわかった.経験値以上に,支援に必要な基本概念やスキルを学ぶ「チューター研修」の重要性を示唆するものであった.また,先行文献において学びの源として知られる「スキャフォルディング」に着目し,既存理論の分類表をもとに,追加データからスキャフォルディング事例の抽出と分類を行った.最後に,これまでの研究成果を踏まえ,チューターに求められる学習支援力の定義を行い,その習得に必要な要素と概念を構造化し,「学習支援力を支えるチューター研修」として提案した. 学びの目的や機会の多様化が進み,正課・課外を問わず大学教育全体で学生の学びをサポートする体制の構築が求められている.学習支援センターがその役割の一端を担う上で,学生サポーターであるチューターの支援スキルの質の確保が課題となるが,それに関する知見や事例はまだ少ない.質的な観点から学習支援スキルの詳細を明らかにし,その育成方法の体系化を試みた本研究課題は,このような課題の解決にむけた取り組みとして位置づけられる.
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