研究課題/領域番号 |
18K02815
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大浦 弘樹 東京工業大学, 教育革新センター, 准教授 (90466871)
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研究分担者 |
伏木田 稚子 首都大学東京, 大学教育センター, 准教授 (40737128)
吉川 遼 名古屋文理大学, 情報メディア学部, 助教 (70811165)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 反転授業 / 認識的準備活動 / 統計学習 / ゲーム利用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,反転授業における講義動画による事前学習前の認識的な準備不足の課題に着目し,講義動画を視聴させる前に学習者の関連する事前知識や認識的認知を活性化する準備過程(認識的準備活動:EPA)を統合した反転授業の拡張モデルを構築することである。 H31年度の研究活動では,1)認識的準備活動の理論的な整理,2)H30年度の大学授業での実践データの分析,3)新たな教材シナリオを作成,4)大学授業での実践を行った。具体的には,1)については,反転授業における認識的準備の達成目標と設計用件の整理(大浦ほか 2019),準備活動で利用するノベルゲーム教材の課題をゴールベースシナリオ(GBS)に沿って検討(吉川ほか 2019)した。 2)については,H30年度後期に実施した大学授業での実践データを分析した結果,EPAを個人で行ったクラス(以下,個人群)とグループで行ったクラス(グループ群)で比較した結果,グループ群の方が動画を視聴した直後の理解度テストの得点が特に伸びたのに対し,個人群では動画視聴後,演習後と段階的に得点が伸びていたことがわかった。このことから,EPAをグループ(協調条件)で行うことで動画による学習効果が上がることが示唆された一方で,演習の段階でさらに理解度を高める方策が必要であることも示唆された(伏木田ほか 2019a; Fushikida et al., 2019)。また,授業時間外での受講生の動画視聴行動を分析した結果,受講生は連続,断続,遡行などさまざまな視聴スタイルをとっており,視聴比率が高いほど自分のペースで視聴箇所を選択し,重要だと認識した部分を反復視聴している様子が示唆された(伏木田ほか 2019b)。 3)については,選挙における出口調査をテーマに推測統計における信頼区間の学習に焦点を当てた教材シナリオを新たに作成した。また,最後の4)については,H30年度に引き続き大学授業での実践を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでおり,順調に進展している。具体的には,認識的準備活動の理論的検討を行い,関連する教材を作成し,実践評価も複数年度で実施,得られたデータの分析を行っている。今年度もデータ分析を継続し,反転授業の拡張モデルおよび設計法の構築を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って,実践データの分析に基づく知見から,認識的準備活動を取り入れた反転授業の設計もモデルを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた一部の物品購入および出張(旅費)を実施しなかったため。次年度以降にデータ分析に必要なソフトウェア等の消耗品の購入や,研究成果の発表(旅費)に使用する予定である。
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