研究課題/領域番号 |
18K02823
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
仲道 雅輝 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 講師 (90625279)
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研究分担者 |
竹岡 篤永 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30553458)
根本 淳子 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (80423656)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学習経験の質モデル / 初年次教育 / 学習者要因 / 環境要因 / インストラクショナル・デザイン / ID美学第一原理 |
研究実績の概要 |
本研究は、初年次教育にParrish の「学習経験要因モデル」を活用し、学習経験の質の向上を通じた主体的学習者の育成に取り組んできた。学習経験の質とは、学習が学習者にとって意義深い経験となった度合いのことである。先行研究において、Parrish の「学習 者要因」に焦点を当て、学ぶ姿勢の習得を支援する「学習経験自己評価表」と、教員向け に「授業改善ヒント集:学習者要因編」を作成した。前研究の成果である「授業改善ヒント集:学習者要因編」と一対になる「授業改善ヒント集:環境要因編」等を作成し、研究における核心的問いは、「学習経験の質を高める効果的な学習支援方法は何か」であり、初年次教育において学生の学習経験の質を高めるための「学習経験要因モデルによる主体的学習者育成プログラム」を開発し評価することを目的としている。令和2年度は、国内外の先行研究調査を行うとともに、授業改善ヒント集(学習者要因編)を論文として発表しつつ、授業改善ヒント集(環境要因編)の作成に向けて、学習経験要因モデルに見識のある教員への半構造化面接法により、学習経験の質を向上させるための授業の工夫についてデータを収集し分析を行った。分析では、収集したデータの抽象度に注意を払い、ヒント集として使いやすい具体性を維持する。今後、対象教員数を増やしていくことで、より充実した授業改善ヒント集(環境要因編)を完成させる。主体的学習者の育成に学習経験の質向上という観点を 用い、教育実践での活用可能な具体的方策を新たに創出しようとしている点が、本研究の 特徴である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、学習経験に関する先行研究調査を学習経験に関する論文および著書、解説書などを引き続き精読し、研究方法の軌道修正の必要性がないか、分析内容にかけている視点がないか、先行研究から、直接的・間接的に、学習経験の質という観点から、環境要因や学習者要因について記述された部分を抜き出し、これまでの文献検討に追加して整理した。授業改善ヒント集(環境要因編)の作成に向けて、学習経験要因モデルに見識のある教員への半構造化面接法により、学習経験の質を向上させるための授業の工夫についてデータ収集を行った。その後、順調に分析を進めたが、コロナ対応等の影響によりごく一部の分析については次年度に持ち越して行うこととした。 共同研究者および研究協力者との意見交換においては、現時点で研究方法および分析の方向性に問題はなく、今後も、当初の予定通り研究を推進することとなった。 「授業改善ヒント集(学習者要因編)」をヒント集としての使いやすさを向上させるために、ランダムに記載されていた項目を整理し直し、下位項目を命名し改訂版の作成に至ったものを論文化し,学会において論文発表できた。また、ホームページ上で、研究進捗結果の情報公開を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、昨年度に引き続き、二人目の学習経験要因モデルに見識のある教員に対して、半構造化面接法でのヒアリングを予定し、新型コロナウィルスの感染拡大の防止に配慮しつつ、予定通りに実施できた。令和3年度以降は、当初の一部計画を修正(ヒアリングの時期を変更)しつつ、追加での半構造化面接法によるデータ収集を継続し、「授業改善ヒント集(環境要因編)」の作成、学習経験要因モデルによる主体的学習者育成プログラムの開発と実践での活用を踏まえた評価を行う。 また、全過程において、教育学研究者、教育工学研究者による指導・助言を受け、分析の妥当性や使用する語句の定義等についてスーパーバイズを受ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大防止の影響と、インタビューの機会の減少および代表者の体調不良等により研究打合せの機会を数回延期したことも重なり、再調整が必要となったため、使用額に残額が生じた。しかし、研究の進捗には、大きな影響はなく進めることができている。次年度以降、早々に研究打合せの機会を設ける方向で調整を進めている。
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