本研究では、「学びの連続性」(縦の連続、横の連続)を目指す特別支援教育がICT活用をベースに実現できることの検証が目的であった。2022年度は、小学校1年生30名を対象に、タブレットでのアイコンプログラミングに取り組んだ。一斉授業スタイルで教える場合、必ずつまずく児童がおり、教師がその児童を指導している間他児を待たせることになる。児童同士が教え合うことが望ましいが、小学校1年生に他児を教えられるか検討が必要と考えた。そこで、教師が最初の1名のみ教え、その児童が次の児童を教えることを繰り返していくスタイルで、児童が他児を教える様子を観察した。その結果、相手の代わりに操作してしまう児童、手続きのみ伝える児童もいたが、なぜそのアイコンが必要かの根拠を示す児童が「教師役」に相応しいと推察された。また、前年度に引き続き、オンラインによる双方向テレビ会議の方法で学習支援を月1回のペースで1名ずつ4名に実施し、成果を学会発表や論文発表で示すことができた。 研究期間全体を振り返ると、途中コロナ禍で対面での実践的研究が止まったためやむを得ず行った「オンライン学習支援」の実践は、むしろ家庭との連携が深まる貴重な経験となった。5年間の成果は以下の通りである。 成果1(縦の連続性):障害のある子どもへの継続した学習支援へのICT活用では、認知特性に合わせた教材作成が容易で、詳細な学習記録が残り、対象児の成長に合わせた個別最適な教材を提供し続けることができた。 成果2(横の連続性):聴覚障害学生支援のICT活用システムを確立することで、インクルーシブな大学授業が確立できた。 成果3(横の連続性):GIGAスクール時代の1人1台タブレット環境となり、個別最適な学びは進んだが、協同の学びをどう育てるかは難題である。本研究では、小学生が他児に教えるという手続きを試行し、協同の学びの研究方法の一つを見いだせた。
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