本研究の目的は,生活史研究の新しい方法論を構築することである。生活史とは,インタビューや文書史料などをもとに,個人の人生の歩みをくわしく記録したものである。本研究では,生活史研究におけるインタビューと解釈について検討したうえで,以下の2点を明らかにした。(1)生活史研究の意義は,既成の通念を揺さぶり新たな解釈を生みだす手がかりを提供することにある。(2)生活史研究の意義を実現するためには,インタビューにおいて出来事を写生する口述を語り手から引きだすことが肝要である。以上を踏まえて,生活史研究におけるさまざまなインタビュー技法,さらにインタビュー結果を編集する上での留意点を検討した。
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