本研究の目的は学びの変革期における教師の認識論的信念の再構成の要因・プロセスを解明しそれを支援する研修のデザイン原則を提案することである。「いかに教えるか」という教授方法の知識の変容に際して教師個人がもっている認識論的信念が,新しい教え方の背後にある「人はいかに学ぶか」の考え方とコンフリクトを起こす形で顕在化し,乗り越えるべき障壁となることが予測される。どのような認識論的信念が顕在化し,新しい学びの知識とコンフリクトを起こしうるかを検討し,教師の学びの理論的解明と支援の実践的提案を目指す。 期間を延長して研究を継続した令和三年度には,養成段階の教師,すなわち教員養成学部の学生を対象として,認識論的信念の再構成の要因・プロセスを調査・解明する研究を実施した。 具体的には,教員養成学部の学生を対象として,学習環境デザインの原則について理解を深めるために,学習者中心,知識中心,評価中心,共同体中心に関する信念に着目し,教育心理学の知見に基づく見直しを促す教授的介入について,昨年度の研究成果をもとに再設計を行い,その効果を検証した。授業の中で学んだ学習理論に対して学生自身が理解をふりかえり言語化したり,疑問点を明確にする機会を設け,理解を促すとともに,理解が困難な概念や誤りやすい解釈についてデータを収集した。また学んだ理論をもとに授業案を構想させることで,宣言的な理解が授業設計にいかされるに至ったかをアセスメントした。
|