研究成果の概要 |
TATの新しい量的分析法を用いて自閉スペクトラム症(ASD)者における共感の構造を明らかにするため、(1)ロールシャッハ平凡反応に相当する基本反応と中核反応の開発及び妥当性の検討、(2)欲求-圧力分析の欠点を補う関係相の妥当性の検討を行い、それらの有効性を示した。さらに、(3)ASDの中学生のTAT反応を分析したところ、彼らは人間像を表象する機能は保持しているものの、社会的刺激に対する指向性が低いことが明らかになった。その背景には「直観的心理化」(別府,2012)や「マクロ的・抽象的な情報処理」(小嶋,2012)を苦手とする傾向が示唆され、共感の構造に大きな影響を及ぼしていることが考察された。
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