研究課題/領域番号 |
18K03158
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研究機関 | 愛知東邦大学 |
研究代表者 |
高柳 伸哉 愛知東邦大学, 人間健康学部, 准教授 (20611429)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 青年期 / 発達障害 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
引き続き研究協力者らとの協働による小中学生対象のアンケート調査を実施し、調査協力市内の公立小中学校すべてを対象に調査を行い、2020年度は小学生5769名、中学生2690名、計8459名とその保護者から回答を得た。 一方で、自治体・当事者団体と連携した調査については、コロナ禍の状況も重なり調査の実現に至らなかった。そのため、特性的強みに関する調査は取り入れられなかったものの、先述した既存の尺度を用いた発達障害傾向(自閉スペクトラム症特性、注意欠如・多動症特性)とメンタルヘルスに関するデータ収集を行った。2019年度に報告した発達障害傾向と自傷行為、メンタルヘルス、対人関係問題、ソーシャル・サポートの関連に関する分析結果について、学会誌への投稿を進めている。本研究の主目的である「特性的強みの探索的検証」には踏み込めていないものの、発達障害特性とメンタルヘルス等の関連性について検証を進めた。 自治体や当事者団体とはオンライン等を活用して連絡・連携を継続しているため、コロナ禍の状況の改善や実施可能な形態を模索していくことが課題となる。なお、自治体における連携では、Web会議システムを活用した学校教員への聞き取りを試行的に実施し、教育現場における発達障害支援の取り組みや教員としての関わりなどについてインタビューを実施した。一般的な帰結を示すだけのデータを収集することは困難と思われるが、わずかでも本研究の取り組みを進めるための工夫を検討していくことが求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では発達障害児者における特性的強みに関して、自治体や当事者団体と連携した調査を踏まえた探索的な検証と、大規模調査を用いた量的研究による検証を計画していたものの、コロナ禍の状況で質的研究が実現できてないため、「遅れている」という評価にならざるを得ないと考える。そのため、研究期間を1年延長して取り組むこととした。
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今後の研究の推進方策 |
本報告の作成時点においても、コロナ禍は日本各地に広がっており、研究期間内に解決することを期待するのは難しいと思われる。解決方策として、本研究の実施方法等を見直し、自治体や当事者団体とはオンライン等で連絡・連携は取ることができているため、量的な調査によって特性的強みに関するパイロット研究を行う方向への切り替えを模索する。研究協力者らと実施している大規模アンケート調査は継続できていることから、新たな尺度の追加などは困難と思われるものの、発達障害児者におけるメンタルヘルスと関連させた検証ができるか、引き続き相談を重ねていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の状況により、研究の遂行遅延や旅費、学会参加費等の支出がなかった。本研究を引き続き進めるためにも研究期間の延長を決め、2021年度に継続して大規模調査研究の実施や発達障害当事者、発達障害支援に携わる現場職員等への調査を検討しており、それらの調査費用や謝金として用いる予定である。 また、コロナ禍が継続していることから、オンラインによるWeb会議システムを活用した研究協力者や自治体、当事者団体関係者との連絡・連携などをより効果的にするため、必要な消耗品等に使用する計画である。 得られた調査結果について学会誌への投稿も進めており、出版に関連する費用への支出も見込まれる。
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