本心とは裏腹な言葉を多用する日本社会のコミュニケーション行動のメカニズムを、認知実験を行って検討した。日本語母語者と非母語者の間で、「言葉の感情」と「音声の感情」が一致・不一致の場合や、意味を除去した加工音声を用いた場合の感情認知実験の結果を比較した。その結果、日本語母語者は「音声の感情」をより重視すること、「言葉の感情」と「音声の感情」が矛盾している場合でもそれを感情認知の手がかりにしていること等のいくつかの新しい知見が得られた。実験結果をもとに、「感情認知のプロセスモデル」を作成し、日本独特と言われる「空気を読む」「本当の気持ちを隠す」等のコミュニケーション行動のメカニズムを説明した。
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