研究課題/領域番号 |
18K03261
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
池田 岳 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40309539)
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研究分担者 |
松村 朝雄 岡山理科大学, 理学部, 講師 (80755223)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グラスマン多様体 / 量子K理論 / シューベルト・カルキュラス |
研究実績の概要 |
グラスマン多様体のトーラス同変量子 K 環に対して,対称関数環の剰余としての表示を証明することができた. D. Hiep, T. Matsumura と取り組んでいた課題であるが Y. Nakayama, S. Shogo の協力を得て, 研究が進んだ. 当初は非同変を目指していたが,研究が進むにつれてトーラス同変の結果も得られた. Gorbounov-Korff により,類似する表示の存在が予想されていたが,彼らとは異なるアプローチで独自の結果に到達できた.この表示においては 二重 Grothendieck 多項式によってシューベルト類の構造層の類が表現できている.また,我々の表示では剰余を定める際のイデアルの生成元が二重 Grothendieck 多項式を用いて記述されているので,Grothendieck 多項式がみたす関係式から量子 K 環におけるシューベルト構造定数を計算することができる.また,応用としてシューベルト類を行列式の形で書き表すジャンベリ公式が導ける.以上の内容について論文を準備中である. 古典型の旗多様体において,ヴェクシラリー置換に対応するシューベルト多様体の特異性に関する研究も進展があった.特異点のヒルベルト・サミュエル重複度を励起されたヤング図形の数え上げとして記述する結果である.グラスマン多様体の場合に帰着する方針で初等的な証明ができたので,論文にまとめている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラスマン多様体の量子 K 環については,トーラス同変の場合にまで拡張した形で結果が得られたので,順当と言える.重複度に関する研究は,証明することに時間がかかっていた. FPSAC 2019 で公開した証明には誤りがあり,その後に修正を試みていた.ようやく正しい証明ができたので,当初の予定に追いついた.以上のような状況から,総合的にはおおむね順調であると言える.
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今後の研究の推進方策 |
概要で述べた成果の論文執筆を最優先する.その後,量子 K 環については極大等方グラスマン多様体の場合の研究を進める. その他に,密接に関連する以下の諸課題に取り組む. (1) K 理論的 Peterson 同型と相対論的戸田格子方程式 (2) GP関数を用いたシューベルト構造定数 (3) C 型のアフィン・グラスマン多様体のシューベルト類
(2) は予想の形で発表することも考えている. (3) については 2021 年度中に成果を発表する. (1) については,背景となる最近の研究の進展をフォローすることに時間を割く予定である.いくつか,部分的な結果が発表できるように努力する.
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表や研究打ち合わせのための出張する機会が全くなかった.事態を見極めて次年度以降に使用する計画である.
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