研究実績の概要 |
古典型旗多様体のシューベルト多様体について,シューベルト多様体がヴェクシラリー元に対応する場合について,各点におけるヒルベルト・サミュエル重複度を明示的に与える組合せ的公式を証明した.この結果は,A型の場合には Lee と Yong により証明されていた.我々の証明は Lee, Yong よりは直接的であって,グラスマン多様体の場合に帰着させるという方法による.これは Dave Anderson, Minyoung Jeom, Ryotaro Kawago との共同研究による.
岩尾・前野との共同研究により発見した K 理論的ピーターソン同型において,シューベルト類の詳細な対応については予想であった.今回,その予想の証明ができた.この結果は,加藤によるK 理論的ピーターソン同型の一般的な構成・証明によるものである.また,アフィン側のシューベルト構造定数の代表である closed K-k-Schur 関数に対して,明示公式を証明した.これは Blasiak, Morse, Seelinger による予想を肯定的に解決したものである. なお,Blasiak らは Lam, Schilling, Shimozono による K-k-Schur 関数に対して同様の結果を与えている.アフィン・グラスマン多様体の K ホモロジー・シューベルト・カルキュラスと旗多様体の量子 K 理論のシューベルト・カルキュラスが明示的なレベルで対応付けられたことになり,本研究課題全体を通して,最も重要な成果である.これらの結果は岩尾慎介,内藤聡との共同研究による.
グラスマン多様体の量子 K 理論に対して,対称関数環の商としての実現を与えた.その際,グロタンディック多項式がシューベルト構造定数の代表になる.この研究は D. Hiep, T. Matsumura, Y. Nakayama との共同研究である.
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