双曲性を初めとして,力学系の位相的な性質は主にその1階微分と関係づけられることが多かったが,本研究において高階微分が力学系の周期点の数の増大度という位相的な性質が2階,3階微分と密接に関係することが明らかになった.また,0次元の集合であるカントール集合が摂動しても交わり続けると安定交差という性質は,力学系の分岐理論においてこれまでも重要な役割を果たしてきたが,本研究ではこれまで知られいたものとは全く異なるメカニズムによる安定交差の例が構成され,その分岐理論への応用がなされた.3次元アノソフ流のR-covered性の特徴づけもアノソフ流の位相的性質の理解への応用が期待される.
|