研究成果の概要 |
null conditionまたはweak null conditionをみたす非線形波動方程式系に対する初期値問題を考察した. null conditionに関する問題の場合には, Christodoulouが初期値に課していた空間遠方での減衰に関する条件を緩めることが出来た. weak null conditionに関する問題の場合には, 扱いが容易に見える3次の項が, 2次の項と共存する場合には臨界巾に相当しており, 時間大域解の存在を示す際の困難を生じさせていることを発見した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2次および3次以上の高次の項の非線形項にもつ, 空間3次元における非線形波動方程式の時間空間大域的な解の存在・非存在を考察することは, 幾何学や数理物理学に現れる非線形方程式の解の存在・非存在への応用があり, 偏微分方程式論において重要な問題になる. 2次の項がnull conditionまたはweak null conditionを満たす場合が, 大域的な解の存在を目標とする立場からは大変に重要で, 今回の研究期間中に得られた諸結果は国際誌に発表されている. 既に海外の研究者による別のアプローチが考案されており, この方面の研究で存在感を放つ基本的な文献になるものと期待される.
|