本研究は,偏微分方程式系に現れる消散効果が及ぼす解への影響を体系的に捉える点に最大の独自性と創造性がある.様々な物理現象が消散構造を持つ微分方程式系を用いてモデル化されているが,それぞれの物理モデルに関する解析は行われているものの,消散効果に焦点を置くことで一般化を試みているものは少ない.更に,本研究は消散行列に対称性を課さないより一般的な状況を考察しており,このような解析を行った結果はほぼ皆無である.これらの状況のもと,研究業績である一般論の構築によって,双曲型方程式系で表される物理モデルの安定性解析は全て同一手順により行われることとなり,数学的にも物理的にも非常に意義のある結果といえる.
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