研究課題/領域番号 |
18K03374
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
若狭 徹 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20454069)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 楕円関数 / 反応拡散方程式 / 線形化固有値問題 / 大域的分岐 |
研究実績の概要 |
2019年度の研究では,(1)一般的な反応拡散系に付随する固有関数および固有値の漸近公式(北海道大学・栄伸一郎教授,北海道大学大学院・島谷晴基氏との共同研究),(2)MEMS方程式における定常問題の解と安定性の問題(台湾・淡江大学Jong-Shenq Guo教授ら計4名との共同研究),(3)楕円関数による一般化Chafee-Infante問題の分岐解析(大阪府立大学・菅徹氏との共同研究)の各テーマについて研究を進めていた. 2020年度の研究ではこれを継続して進めており,(2)に関しては論文がJ.Differential Equation誌に受理され一定の結果が得られている. 研究テーマ(3)に関しては2019年度からの進展として,現れる2次分岐解の非退化性を調べるための条件を楕円関数およびその積分を用いて表すことに成功した.これを解析するためには主に表示式の複雑さに起因する困難点があり,その克服に向けて共同研究を継続して進める予定である. 研究テーマ(1)の論文執筆については,コロナ禍による遠隔授業準備により十分なエフォートを確保することができず,論文投稿の準備を進めることができていない.また,上記以外の研究テーマとして,2018年度にはスカラーフィールド型方程式の線形化固有値問題について,固有値・固有関数の表現公式とこれに付随する漸近公式を調べている.こちらについても技術的困難があり進展していない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
主に2020年度は,コロナ禍による遠隔オンライン授業の実施により,本来教育に充てるべきエフォートを大きく上回る分のエフォートが遠隔授業準備や課題添削による労力に費やされている.その結果,研究に取り組むための十分な時間を確保することができなかった.その他大学における業務と合わせて,年度全体を通してこのような状況が慢性的であり,研究を進めることがそもそも困難であった. 研究テーマ(3)に関しては,解析すべき問題を楕円関数の問題に書き換えることに成功しているが,解析すべき特性関数の振る舞いは非常にデリケートであることが予想され,精密な不等式評価が必要とされている.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度については,遠隔授業実施にあたる負荷が大幅に軽減されており,2018年度,2019年度と同等の研究時間を確保することが可能である.現在取り掛かっている3つの研究テーマについて,着実に進めていきたい.研究テーマ(1)については論文投稿を,研究テーマ(3)およびスカラーフィールド型線形化固有値問題の研究については,解析の困難点を再調査し解決することを目標年,将来的な論文執筆および投稿までの道筋をつけたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究出張が行えなかったことにより,科研費の使用用途を物品中心に変更した.その結果として残額が発生した.これは次年度使用額として出張費用あるいはソフトウェア購入に充てる予定である.
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