研究実績の概要 |
主な研究成果は、Marouane Assal (Univ. San Tiago), Kenta Higuchi (Ehime Univ.)と共同で研究した、行列シュレディンガー作用素の量子共鳴の半古典極限における漸近分布である。退化したエネルギー交差をもつ1次元2行2列のモデルについて、量子共鳴の虚部の漸近挙動を、エネルギー交差の退化次数を用いて記述することに成功した。その鍵となるのは、退化した停留位相法である。1次元の退化した停留位相自体は難しくなく、古くから知られているが、交差点での接続公式の漸近展開の第2項が退化した相関数をもつ振動積分で表されることを明らかにした点に、この研究の意義がある。従来の研究では、退化した交差は考えられてこなかった。それは、退化しない場合に限っては、解析が容易な標準形への帰着が可能だからである。この研究成果は、現在論文として学術雑誌に投稿し、査読を待っているところである。 この他、Mouez Dimassi (Univ. Bordeaux)との共著で、行列値作用素の超局所、半古典解析の教科書を執筆している。秋に2ヶ月ベトナムの研究所VIASMに二人で滞在し、執筆作業を進めた。この作業は現在も進行中である。
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