当初2018年4月から3年間の研究計画であったが、最終年度 (2020年度) はコロナ禍の影響で、予定していた国際会議出席や研究会開催等が行えなかったため本研究課題最終年度としての総括が行えず、予算も含め2021年度へ持ち越した。
本研究課題においてこれまでヒッグス粒子の崩壊幅、分岐比を様々な拡張ヒッグス模型において精密計算を行ってきた。最終年度は同じ枠組みを用いて、将来のILC実験等の電子・陽電子高エネルギー衝突実験におけるヒッグス粒子生成の精密計算を行った [Eur. Phys. J. C 81 (2021) 1000]。有効場理論を用いてILC実験等のヒッグス粒子精密測定において素粒子標準理論からのズレが観測された場合、そのズレのパターンと新物理理論からの予言とを照合する際に必要不可欠な研究である。
2021年度もコロナ禍の厳しい状況ではあったが、少し感染拡大が収まった時期に感染対策を十分施した上で、岩手で12人程度、3日間の小規模な「EFT(有効場理論)勉強会」を2度(2021年6月30日-7月2日、2021年11月3日-5日)対面形式で主催した。国内の有効場理論に関する専門家が集まり、それぞれの研究発表、そして議論を通して今後の有効場理論を用いた新物理探索の方向性を探った。本研究課題の総括となる非常に有意義な勉強会となった。また、研究者間の交流という面で、対面形式の勉強会・研究会の大切さを痛感した会となった。今後もぜひ継続して開催していきたい。
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