本研究は、2012年に我々が発見した、過去約30年の間に大規模な質量放出を行い、急激な赤外線光度の変動を見せた天体 WISE J1810 の素性を、我々がこれまで取得した赤外線および電波領域の観測データと、放射輸送計算による詳細な解析により、明らかにすることを目的としたものである。本研究により、(1) WISE J1810 のダストエンベロープの見かけのサイズ、概形を信頼性高く測定し、(2) 測光精度が向上したデータに基づく放射計算からダストエンベロープのサイズ・質量を推定し、(3) この天体の距離や光度を推測し、これまでに知られているいかなる天体とも異なる性質を示すことを明らかにした。
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