阿蘇のカルデラ噴火の準備過程における、地殻深部でのマグマの蓄積過程と地表へのグマの移動過程を地球物理学的にとらえるため、地震波走時トモグラフィー、表面波トモグラフィーを行った。そして、2016年熊本地震の断層運動がマグマ溜まりに及ぼした影響を有限要素解析により評価した。その結果、熊本地震の断層運動により、阿蘇火山のマグマだまりの体積は0.06% 増加するのみであった。このわずかな変化量では、中規模の噴火(VUI2以上)のトリガーとしても不十分だったと考えられる。またレシーバー関数解析による地震波速度構造解析では、地殻深部の低速度層の熊本地震前後での速度構造の変化は捉えられなかった。
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