日本の暁新世貝類化石群の特性を明らかとするため,北海道浜頓別地域,北海道根釧地域,高知県宿毛地域,熊本県天草下島地域の暁新統を対象に野外調査と貝類化石試料の採取を行った。その結果,いくつかの新種を識別した。また,浜頓別地域の函淵層奥宇津内部層の貝類化石群は日本における唯一の浅海性貝類化石群であることが明らかとなった。さらに,南サハリンから四国西部までの地域に分布する深海性貝類化石群はキララガイ亜属等の原鰓類とモミジソデボラ科により特徴づけられることが明らかとなった。北西太平洋地域における暁新世貝類化石群の転換は暁新世-始新世境界温暖化極大(PETM)以前に起こっていた可能性が示唆される。
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