研究課題
基盤研究(C)
キャビテーションは液体の局所的圧力低下で気泡が初生し,周囲圧力の回復とともに圧潰する現象である.流体機械に損傷を与える有害な現象として知られる一方で,超音波洗浄での利用や癌細胞への薬導入の素過程としても注目される.本研究ではキャビテーション初生に関する新しい解析モデルの構築に向けて,ナノサイズの気泡核における蒸発係数と呼ばれる重要な物性値の界面曲率依存性について分子動力学シミュレーションを用いて解明した.
分子流体力学
キャビテーション初生を正しく予測できる理論の構築は,ポンプなどの流体機械のようにキャビテーションを抑制する立場から重要であるばかりでなく,超音波洗浄などの有効利用や医療分野への先進的応用といった立場からも大きな意味を持つ.本研究で得られた蒸発係数や表面張力などの物性値はキャビテーション初生理論における主要パラメータであり,今後の分子動力学と気泡力学を融合させた新しい解析モデルの構築に向けて基礎的かつ重要な知見が得られたと言える.