研究課題
基盤研究(C)
パルス大強度相対論的電子ビームの照射による土壌中の揮発性有機化合物の処理特性を解明した。ホルムアルデヒドを含む土壌に電子ビーム(エネルギー2MeV、電流0.4kA、パルス幅70ns)を照射したところ、初期濃度55ppmのホルムアルデヒドが5回の電子ビーム照射で20ppmに低減した。一方、初期濃度300ppmでは、照射を重ねると250ppm程度で推移した。照射に伴い副生成物の濃度が上昇し、副生成物同士の結合によるホルムアルデヒドの再生成が処理と拮抗し、濃度が変化しなくなったものと考えられる。
電力工学
パルス大強度相対論的電子ビーム照射による土壌中の揮発性有機化合物の処理を実証したことは、地球環境の回復や保全を進めるための一つの手段の基礎を確立したこととなり社会的意義がある。また、学術的知見として、電子ビーム照射の積算回数と有機化合物の濃度の関係から副生成物の発生メカニズムとその振る舞いの一端を解明しており、汚染土壌中の有機化合物の初期濃度により副生成物を一定程度、制御できることを明らかにしている。