研究課題
帰路線を持たない離散単導体線路においても、終端整合が可能であることを昨年度に提案した。本年度は、その手法の妥当性を実際に確認するため、実験系を構成し、無反射条件の成立を確認した。実験にあたっては、電荷の蓄積する球構造の代わりに平面ディスク構造を用い、電流プローブを用いた導体線の励振、磁界プローブによる電流分布の測定を行った。実験の結果、帰路線の無い単導体においても、理論通りに整合終端が設計できることを確認し、回路モデルによる解析結果、電磁界シミュレーションによる結果ともよく一致することを確認した。また、離散的な単導体線路におけるシャント構造や、それを用いたトポロジーによるフィルタ回路の設計手法の提案も行った。これにより、グラフラプラシアンを用いてトポロジーを進化させることにより、周波数特性を設計できることを確認した。結合共振器を1次元に並べた構造の伝送線路に関しては、分散特性がライトラインと交差する部分で特異性が現れることが昨年度までに確認されている。本年度はそのライトラインと交差する部分に対応するモードを利用することにより、単一モードの励振が可能であることを、周波数領域と時間領域の両領域で確認した。これは、ライトライン上では遅延電磁結合によりインピーダンスが特異的に下がることを利用している。この単一モード励振を利用すると、1個の共振器のみを励振するだけで強い指向性をもつアンテナが実現できることを示した。さらに、昨年度までに開発した時間領域モデルと、回路におけるテレゲンの定理を組み合わせると、回路におけるエネルギーの表現も遅延電磁結合を含む形で定式化できることを示した。そこで、共振エネルギーを定義し、その振る舞いの時間領域解析を行い、導体近傍のエネルギーの変化が時間領域でも計算可能であることを示した。
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IEEE Transactions on Electromagnetic Compatibility
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10.1109/TEMC.2020.3041468
2020 Fourteenth International Congress on Artificial Materials for Novel Wave Phenomena (Metamaterials)
10.1109/Metamaterials49557.2020.9285165