本研究では東京圏を対象に,鉄道整備によるアクセシビリティの改善がもたらす企業の立地促進や生産性の改善について,ミクロ及びマクロの両面から実証分析を行った.主な結果は次の通りである.第一に,企業データベースを用いて新線沿線の立地企業を抽出し,鉄道整備と立地促進や生産性向上との関係を分析した結果,一定の因果効果の存在が確認された.第二に,経済センサスデータを用いて労働生産性に関する回帰分析を行った結果,アクセシビリティの改善が労働生産性の向上に寄与している可能性が示唆された.第三に,最近の新型コロナウイルス感染拡大にともなう在宅勤務の実施状況,業務生産性の変化,車両内混雑に対する意識を把握した.
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