日本では、1997年の京都議定書採択後、低炭素社会の実現に向けた様々な取り組みがなされてきたが、各部門の合計の二酸化炭素排出量は引き続き増加している。そのため、様々な活動に影響する都市や街の物的環境を取り扱う都市計画・まちづくり分野でも、二酸化炭素排出量削減に寄与する取り組みは急務である。特に、建設時期が異なる多数の建物と都市基盤が混在し、多数の利害関係者が存在する既成市街地の低炭素化とそれを超えた環境・社会・経済の持続可能性や都市のレジレンスの追求は、研究面でも実務面でも蓄積が少なく、人口減少・超高齢社会を背景に既成市街地の持続再生が求められる今日、この分野の取り組みは極めて重要である。
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