研究課題
本研究課題では,稠密に整備されている沖合の津波観測網で得られる津波の観測記録を用いて,地震に伴う津波(地震性津波)に限らず,あらゆる事象によって生じる津波(非地震性津波)の自動検知と津波の波源分布を即時に推定する手法を開発している.この時,簡易的な手法と詳細な手法に分けて,2通りの手法の検討を実施することとし,本研究の目的を確実に達成させるようアプローチしている.さらに,S-net実データを用いたシステムを試作し,内閣府の「総合防災情報システム」を想定して検証作業を行う計画である.本年度の研究実績の概要は以下の通りである.(1)非地震性津波はしばしば地震性津波に比べて短波長であることが知られているため,海底圧力計での観測に与える影響度合いの評価を行い,評価結果を論文1編として公表した.また,S-net敷設海域において非線形分散波方程式に基づく津波伝播計算を行うための地形データの作成を行い,簡易手法の開発を実施した.(2)津波の自動検知と津波波源の推定を同時に行うことが可能な詳細手法の検討を計画通り本年度より開始した.(3)本研究課題で開発した手法を検証するため,非地震性津波の極端な例題としての隕石衝突によって生じる海面変動を模する試験データを作成するためのシミュレータの開発を行った.作成手法について,様々な分野の学会等で研究発表を行い,手法の改良や必要な情報収集を行った.また,運用システムとの接続試験を行うため,リアルタイムに蓄積されるS-net観測データを取得するためのシステムを構築した.
2: おおむね順調に進展している
予定していた簡易手法の開発を進め,詳細手法の検討を開始し,最終年度の検証に向けて検証手法の開発及び環境構築を進めた.
簡易手法及び詳細手法について,開発及び検証を進めつつ開発した手法を論文として公表する.
計画していた論文出版が次年度となるため
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)
土木学会論文集. B2, 海岸工学
巻: 75 ページ: I_379~I_384
10.2208/kaigan.75.i_379
The 29th International Ocean and Polar Engineering Conference
巻: 2019(ISOPE-I-19-707) ページ: 3154 - 3159