Sr2RuO4における異方的超伝導状態の本質的な理解を深めるため,当初は磁場-温度相図に着目した研究をおこなった.まず,育成方法の改善によりSr2RuO4の高品質かつ大型単結晶育成に成功した.これらを用いた研究により,Sr2RuO4の超伝導は,従来提唱されていたスピン三重項対ではなくスピン一重項対であることが決定的となり,四半世紀ぶりの転換をもたらすこととなった.一軸圧力下での研究と有機的に組み合わせることで,2成分からなる超伝導秩序変数や磁気秩序の発見に結びついた.磁場-温度相図については「新しい相」の解釈に強い制限を与えることができ,超伝導秩序変数決定に向けさらなる研究へつながった.
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