従来の重イオンをはるかに超える高密度エネルギー付与のツールとしてビーム利用の拡大が期待されるフラーレンイオンについて、ビーム利用研究が拠って立つ阻止能に密接に関わるスパッタリング収量を、金及び非晶質炭素について核的衝突が支配的な速度領域において初めて系統的に測定した。その結果、C60、C70イオンによる金のスパッタリング収量はそれぞれCイオンの場合の120~240倍、140~280倍程度になった。また、シミュレーションとの比較により核的衝突に由来することがわかった。非晶質炭素の場合には、核的衝突が支配的な速度領域にもかかわらず、観測されたスパッタリングは電子励起に由来することを明らかにした。
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