研究成果の概要 |
Claisen 縮合は教科書有機化学である.しかし従来塩基法の反応性は一般的に低く,その適用範囲は非常に限られていた. TiCl4, ZrCl4 ルイス酸を用いる Claisen 縮合は従来塩基法に比べ,温和かつ非常に強力で,しかも交差型反応,不斉反応も可能である.研究代表者らはこの分野の端緒から研究をリードしてきた.今回,脱水型Claisen 縮合,Claisen-aldol タンデム反応,フラノンアヌレーションを開発し,加えて得られたβ-ケトエステルを基質とする立体補完的三・四置換 (E)-,(Z)-α,β-不飽和エステル合成および医薬品合成への応用研究とリンクさせシナジー効果を発揮した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Ti-Claisen縮合反応の一部は Organic Syntheses 誌に開発経緯のレヴューとともに再現性有る実験手法を掲載している.実際,Corey 教授(Omuralide analogue) や Merck 社(anti-MRSA医薬)にて本反応は活用された.Claisen縮合反応に関し本格的に取り組んでいるのは,国際的にも当研究室のみであり,この分野の先導的発展に寄与していると考えている. 加えて,得られた多様なβ-ケトエステル類を原料として,立体補完的三・四置換 (E)-,(Z)-α,β-不飽和エステル合成および医薬品合成への応用研究とリンクさせて,シナジー効果を発揮している.
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