研究実績の概要 |
本研究は、レドックス活性でプロトンと電子移動が共役可能なインジゴやキノン基を含むノンイノセント配位子を多電子プールサイトに利用して、金属イオンへのCO2や水などの小分子の配位により活性化できる多プロトン共役多電子移動電極触媒の開発を目指している。 (1)インジゴ((N^O)が二座配位子として働き、三座配位子のビス(ベンズイミダゾリル)ピリジン (mbimp)、さらに基質が配位可能な単座サイトX (X = MeCN,Pyridine, t-BuNC, CO)をもつ[Ru(mbimp)(N^O)X]錯体(A)を合成した。この錯体Aはアルゴン気流下では-2Vから+1.3 Vの電位窓の中に6段階1電子移動鎖を形成することがわかった。CO2を通気することで、X =COでは-1.8 V付近から触媒波が観測された。Ru錯体溶液に水を添加したMeCN中でのCO2雰囲気下で、-1.82 V vs. Fc+/Fcの定電位電解を行い、CO2還元反応における生成物の定量を行ったところ、X = MeCNでは水素が主生成物であったが、X =COではCOとHCOO-が主生成物であった。 (2)ベンズイミダゾール-4,7-キノン基を含む二座配位子(2-ピリジル)ベンズイミダゾール-4,7-キノン(PyQH)をもつ[Ru(bpy)2(PyQH)]2+(B)および三座配位子2,6-(ピリジンジイル)ビス(ベンズイミダゾール-4,7-キノン) (bimQH) をもつ[Ru(mbimp)(bimQH)]2+(C)を合成・同定し、その酸化還元挙動を調べた。錯体B,CのCVは、水溶液中でプロトン共役電子移動を示す。また、錯体Cは、pH12では錯体のイミノN-Hは脱プロトン化しているために、中心Ruの1電子酸化波が可逆波として観測され、また還元の電流値は2倍となり2電子が関与していることが分かった。
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