本研究では、耐熱性・耐溶媒性を有する合成細繊維の束をキャピラリー内部に組紐状に配置した、新規な試料抽出媒体ならびにクロマトグラフィー用の分離固定相を検討した。数百本の細繊維から形成される細繊維束を組紐状に編み上げ、その際に組紐内部に形成される空洞部分に金属線などの他の素材も導入した。組紐の構成要素として細繊維束を導入することにより、編み上げ後の組紐表面の平滑性を確保できるほか、キャピラリー内部へ充填時の空体積を大幅に低減でき、小型化が可能である一方で、多数の細繊維による大きな総表面積を確保できることから、多様な選択性を有し抵抗加熱脱着も可能な、試料前処理・分離媒体の可能性を確認した。
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