研究課題/領域番号 |
18K05310
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
品川 勉 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (50416327)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 酸化物太陽電池 / 水溶液プロセス |
研究実績の概要 |
地球環境問題の解決に資するエネルギーデバイスとして期待される太陽電池は、発電利用だけでなく、脱炭素-水素社会の構築に向けた水の電気分解用電源としての活用も検討されている。その広範な普及を実現するためには、原料資源が豊富な金属(ベースメタル)の利用と、低コストかつ低環境負荷な製造プロセスの組み合わせが肝要である。こうした背景のもと、これまでに銅や亜鉛といった汎用金属を原料とし、大気雰囲気でマイルドな水溶液プロセスを用いて作製可能な亜酸化銅/酸化亜鉛太陽電池は、「環境型太陽電池」として注目されている。しかしながら、市販のシリコン太陽電池やCIGS太陽電池と比較して、変換効率が低いことが大きな課題である。 本研究では、「環境型太陽電池」のコンセプトを維持しつつ、高い変換効率が期待できる酸化物半導体の水溶液析出プロセスを新たに開発し、それを光吸収層とした酸化物太陽電池を構築することを目標としている。 その結果、2019年度に、亜酸化銅よりも優れた光吸収層として期待できる酸化物半導体の新しい水溶液析出プロセスを見出した。 2020年度は、この新しい水溶液析出プロセスを用いて、酸化物太陽電池の構築に取り組んだ。当初の計画に従い、太陽電池の構造を「電極/開発した光吸収層/ZnO/透明電極/ガラス基板」として、種々検討を行ったが、光吸収層/ZnOの界面構造が不明瞭であり、良好なp-n接合を構築するには至らなかった。この課題の解決に向けて、不良原因の解明と構築プロセスの改良を進めている。改良方策のひとつとしてMg-Oから構成されるバッファ層の導入を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
太陽電池の構築プロセスに課題があり、想定以上に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
・新たに見出した水溶液析出プロセスの改良、およびp-n接合界面へのバッファ層の導入を図り、太陽電池の構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりもやや遅延しているため、次年度使用額が生じている。研究の遂行に必要な消耗品費等に使用し、目標の達成を図る。
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