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2018 年度 実施状況報告書

イオンビーム突然変異系統を用いたシシトウの不時辛味果発生に関わる遺伝子座の同定

研究課題

研究課題/領域番号 18K05627
研究機関石川県立大学

研究代表者

村上 賢治  石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (40200266)

研究分担者 細川 宗孝  近畿大学, 農学部, 教授 (40301246)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードカプサイシノイド
研究実績の概要

2018年度は、研究代表者らが育成した辛味果がほとんど発生しないシシトウの系統(低辛味系統)とその野生型、それらの交雑F1、F2を用いて、辛味果発生形質の遺伝様式を調査した。高温期の種子の少ない果実で辛味果発生の多いことがこれまでに明らかにされていることから、7月下旬~8月上旬の高温期に開花した花に2,4-Dを処理して単為結果を誘導し、成熟し着色開始した果実を株当たり2果サンプリングした。果実の胎座と隔壁部分を採取し、生体重gの4倍の数値(ml)の99%アセトニトリルに浸漬してカプサイシノイドを抽出し、HPLCで抽出液の濃度を測定した。実験の結果、野生型では約40%の個体で20mg/L以上の高濃度を示したが、4mg/L以下の濃度の個体が27%みられた。この結果から、野生型集団について、環境要因等によって辛味果とならないか、または遺伝子型にバラツキのある可能性が示唆された。低辛味系統では4mg/L以上の濃度の個体はなく、60%以上の個体でカプサイシノイドが全く検出されなかった。F1では、約2/3の個体が10mg/L以下、約1/3の個体が15mg以上のカプサイシノイド濃度であり、分離がみられた。F2では、大部分の個体でカプサイシノイド濃度が10mg/L以下で、低辛味側にシフトしていた。
2018年度の実験でのF2集団の中から、カプサイシノイドが全く検出されなかった50株と、カプサイシノイド濃度が4mg/L以上であった50株について、抽出したDNAのバルクを作成しQTL-seqを行った。その結果、低辛味形質のマーカーを作出できる可能性が示され、さらに、シシトウの不時辛味発現に関わる遺伝子を探究する手がかりが得られる可能性が示された。
また、シシトウでのPun1の量的変異を調べるための、鷹の爪(辛味性品種)×シシトウ(野生型、低辛味系統)の交雑F2集団を育成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第4と第6染色体上に存在したSNPからは、特定の遺伝子の同定までには至っておらず、不時辛味発生や低辛味の形質を決める遺伝子の探索にはまだ期間を要する。また、シシトウでのPun1の量的変異を調べるための、鷹の爪(辛味性品種)×シシトウ(野生型、低辛味系統)の交雑F2集団を用いた解析は現在準備中である。

今後の研究の推進方策

遺伝様式の調査やDNA解析実験に用いる株の親株として、よりホモ化の進んでいると考えられる株を用いて交配し、新たに作成したF1、F2集団を用い2019年度に再度実験を行う。2018年度のDNAのQTLシーケンスの結果をもとに、2019年にはさらに解析を進める。
また、2018年度に育成した鷹の爪(辛味性品種)×シシトウ(野生型、低辛味系統)の交雑F1およびF2集団を用い、辛味果実に関する遺伝様式の解析を行い、Pun1の量的変異を調べる。

次年度使用額が生じた理由

シシトウでのPun1の量的変異を調べるためには、鷹の爪(辛味性品種)×シシトウ(野生型、低辛味系統)の交雑F2集団を解析することが非常に重要であると年度途中で判断されたため、2018年度の実験での当初予定より減額し、2019年度の実験においてPun1の量的変異を調べるために経費を使用することとした。

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公開日: 2019-12-27  

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