木材細胞壁の主要構成成分の一つであるリグニンの分子構造解析手法として、古くから行われているアルカリ性ニトロベンゼン酸化法の改良を目的とした研究課題である。反応生成物の安定化による収率や再現性の向上、あるいは従来法では定量できなかった新奇な反応生成物の回収と定量も視野に入れ、種々の条件で検討を行った。具体的には、生成するフェノール類のヒドロキシ基保護を目的としたホウ酸類の添加や、反応促進を目指した酸化剤や相間移動触媒の助添を行い、その効果について実験的に検証した。その結果、ホウ酸類の添加による保護効果は見出せなかったが、相間移動触媒の助添により、一部の反応生成物について収率向上が見られた。
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