外洋性のアカイカ科は精子の貯蔵器官を口の周辺に数十個保有する。沿岸性のイカ類やタコ類では一つ、二つしかないため、この特殊な精子貯蔵器官の機能についてスルメイカを対象に研究を行った。貯蔵精子を使って人工授精を行い、得られた稚仔のDNAから交接相手の数を割り出した結果、従来の頭足類では見られない、10個体ほどの雄との交接経験が確認された。また、貯蔵器官ごとに貯められている精子の父性割合は大きく異なっていた。この事から、様々な雄の精子を偏りなく貯蔵するためにこの特徴的な形質が進化しており、多様な精子資源を確保する事が資源量維持に重要であることが示唆された。
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