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2018 年度 実施状況報告書

亜熱帯外洋域における動物プランクトンの多様性

研究課題

研究課題/領域番号 18K05804
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

喜多村 稔  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 技術研究員 (00392952)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード動物プランクトン / 多様性 / 亜熱帯外洋
研究実績の概要

本研究の目的のひとつとして、時系列観測点S1 (30N, 145E) など、これまでに亜熱帯外洋域から得られてきたアーカイブ試料を使った動物プランクトン出現種のインベントリ作成がある。作業のとっかかりとして、オキアミ類および浮遊性刺胞類に関して出現種データをとりまとめ、オキアミ類17種類および浮遊性刺胞類48種類を同定した。後者に関しては、終生浮遊性の鐘泳類管クラゲが種類数の70%を占めるものの、花クラゲ目に属する種が2種出現した。一般に花クラゲ目は、無性生殖で個体数を増やす付着期と有性生殖を行う浮遊期を交互に持つため、沿岸性である。ところが今回採集された2種は、未成熟の浮遊生活期個体が出芽により個体数を増やしうる種であり、このような特殊な生活史を有することから外洋にも分布域を広げることができたものと考えられた。
2018年夏の「みらい」MR18-04航海において、北緯15度から30度にかけてNORPACネット曳網による動物プランクトン採集を行った。得られた試料の検鏡観察は現在実施中である。
また、2019年度に動物プランクトン多様性研究を黒潮再循環域において実施するべく、学術研究船・白鳳丸の短期研究航海公募に応募し、10日間のシップタイムを得た。この航海は、音響および光学的手法を用いた動物プランクトン分布観測と多段開閉式ネットを使った層別採集を組み合わせた計画とし、鉛直的な環境勾配ー動物プランクトンの層状分布ー多様性の関わりを考察するために海洋物理観測に、餌資源と動物プランクトンの多様性を明らかにするために植物プランクトンおよび懸濁粒子観測にも力点を置いたプロポーザルを作成した。正式採択の通知を受けて、2019年3月に航海参加予定者を集めた乗船者会議を実施して航海計画の詳細を議論した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アーカイブ試料を使ったデータ取得は順調に進んでおり、オキアミ類および浮遊性刺胞類に関して出現種情報がまとまりつつある。加えて浮遊性刺胞類に関しては、鉛直分布に関するデータ解析も進み、クロロフィル極大層付近の深度において種数および個体数が大きくなる傾向が認められた。
2018年夏の研究航海により新規のネット曳網を行い、これまでに試料採集の機会が少なかった北緯30度よりも南の海域においてもネット曳網を行うことができた。
研究の2年目である2019年に集中的な試料採集を可能とさせるため、当初より計画されていた「みらい」航海以外に白鳳丸のシップタイムを得ることが出来た。
これらの状況により、本研究は「おおむね順調に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

2019年度は、みらいMR19-02航海(5~6月)および白鳳丸KH-19-4次航海(7月)の計2回の研究航海を有している。前者においては西部北太平洋亜熱帯域の様々な測点において、鉛直曳きネット採集による出現種把握および音響手法を使った鉛直分布調査を行う。白鳳丸航海においては、観測点KEO (Kuroshio Extension Obsevatory; 32.3N, 144.6E) の近傍において、多段開閉式ネットの曳網に加えて音響および光学的手法を使った鉛直分布調査を実施する。この光学的手法を用いた観測(カメラシステムの利用)は、当初の計画に盛り込んでいなかったが、音響およびネット調査と組み合わせることで多様性に関する情報を増やすことが期待できるため新たに計画に加える。
アーカイブ試料を使った解析は、(1)時系列観測点S1において2010~2012年に得られた多段開閉式ネット試料、(2)他の亜熱帯海域から採集されてきた様々なタイプのネット試料を用いて行い、2019年度は検鏡作業を集中して行う。本研究の最終的な目標は分類群を跨ぐ形で取りまとめた出現種インベントリの作成であるが、分類群毎に生物相がまとまった段階で論文化を目指しながら(Marine Biodiversity Recordsへの投稿や各種雑誌の短報の形などにより発表する)様々な分類群に関する情報を蓄積させる。

次年度使用額が生じた理由

当初は、2018年度に音響観測機器AZFPのキャリブレーション(30万円)を計画していたが、シップタイムに余裕がなくAZFPを使った観測を調査航海に組み込めなかったため、キャリブレーションも実施しなかった。この次年度使用額は、2019年度に新たに研究計画に加えた光学的手法による観測を実施するためのカメラシステム(Visual Plankton Recorder)レンタル費用として用いる。なお、AZFPのキャリブレーションは3年目に元々計画しており、2020年度に実施を予定する。

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公開日: 2019-12-27  

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