研究課題
基盤研究(C)
山口県屋代島において,植生ごとに複数個の加速度ロガーを設置した。ロガーは海藻と同じように流動で揺れるように設定した。ロガーで得られたデータを解析した結果,クロメ場が強い流動を好み,弱くなるにつれて混生藻場,ホンダワラ属藻場と,植生と流動の関係に相関があることがわかった。強い流動データが得られた月を確認したところ,一般的に海が荒れる夏季と冬季が多かった。一時的な強い流動が影響を与えていることが示唆され,今回の研究により,藻場植生により公的な流動環境があることが確認された。
海洋生態学
近年の環境変動により藻場の消失が懸念されている。特に藻場に影響を与える環境要因として「水温上昇」と「静穏化」が挙げられている。静穏化とは,海岸線を人工的に改変することや,台風の減少など気候の変化に起因するものである。しかし水温上昇や光環境などについては膨大な研究例があるが,流動環境についての研究は極めて少ない。従来流動は高価な機材を使用して計測するしかなかったが,本研究では流動を簡易的に評価する手法を開発したことで,学術的にも社会的意義も高い。